すぴか書房は編集者として看護の世界にかかわってきた一個人の30年余の歩み−医書出版社に職を得て、著者・読者と接し、その実践の意味について考え、ケアや援助の思想に魅了され、時にはその反動で現状への批判を強めることもあった−を前史とします。出版社としてのスタートは2004年5月1日(初めての新刊2冊の発行日)でした。編集者1人ですべてをまかなうsimpleな会社です。まだ刊行点数も少なく、事業に関しては大海に漕ぎ出した小舟さながらの心細さですが、初心忘れるべからずの自戒もこめて、ここにご挨拶申し上げます。
出版方針としては、第一に看護書のオリジナル企画に重点を置きます。ただし、関心の幅を狭く限定するつもりはありません。専門や領域の枠にとらわれてテーマをたわめてしまうことのないように気をつけます。むしろ目指すべきは、既成の枠組を超えて新しい地平を拓くような自由さへと、闊達に抜け出ることです。それは看護がより豊かに深化する道にもつながっているように思います。新刊点数は、年間4〜5冊が精一杯でしょう。多くは出せませんが、一冊一冊の目的を大切に、著者と力を合わせて、特色の際立った本づくりに努めます。
「本ばなれ」「出版不況」と言われて久しく、出版業はますます厳しい風にさらされていくことを避けられないと思います。しかし、すぴか書房は本の将来に希望をもっています。状況の厳しさを「本の真価が問われている」と受け止めれば、一寸の虫に五分の魂、意気に感じて挑戦したくなります。出版方針や本の可能性についてご意見ご要望がございましたら何なりとお寄せください。皆様と一緒に試行錯誤してまいる所存です。
すぴか書房の出版活動に何卒ご注目いただけますようお願い申し上げます。 |