看護の今から未来へOriginalPublisherをめざす医学・看護学と関連分野の専門出版社 すぴか書房
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命が助かる行動の原則と地域ですすめる防災対策
清水宣明 著
四六判(縦組) 228頁 定価( 本体1,800円+税 )
ISBN978-4-902630-25-1
そのとき、あなたはどうしますか?  「とにかく逃げろ!」はまやかしです。「逃げられない」災害弱者もいるのです。
生き延びるために、津波避難における大原則と「正しい避難のしかた」を知りましょう。“避難学”の目的は地震・津波に勝つことではなく、命を最優先に「負けない」ための最善策を科学的に追求することです。
2011.3.11東日本大震災でのさまざまな事実を調べ直すと、尊い犠牲から、学ぶべきことがたくさん見えてきます。読めば目からウロコが落ちます。希望をもって地震・津波に備えてください。

【著者】しみずのぶあき:愛知県立大学看護学部教授  微生物学、感染制御学、コミュニティケアシステム
1959 年、栃木県鹿沼市生まれ。山形大学理学部卒業。千葉大学医学部生化学教室、国立がんセンター研究所ウイルス部で基礎医学の研究を開始。成人T 細胞白血病ウイルス2型(HTLV-II)の遺伝子構造の世界初の決定プロジェクトに参加。1986年群馬大学医学部博士課程に進学、エイズウイルスの研究に取り組む(後天性免疫不全症候群;AIDS は当時大きな社会問題となっていた)。1990年、医学博士。1993〜1994年フランス(パリ)コシャン分子遺伝学研究所留学。帰国後、群馬大学医学部衛生学教室助手、後に講師。2013 年4月より現職。
2009 年の新型インフルエンザ流行を機に三重県伊勢地域の小学校をフィールドとした感染制御研究を開始。小学校内の流行進行の仕組みと学級閉鎖の効果を解明。テーマを地域の健康と安全へと広げて、 自らも居住する伊勢地域で喫緊の課題である地震津波対策に関わる。非現実的な精神論が先行して有効な対策が進んでいない現実を知り、災害弱者の視点に立った科学的な「避難学」と、研究の地域還元の必要性を痛感する。 すでに100回を超える勉強会や講演会を重ね、地域との共同研究として具体的な対策づくりが進行中。毎日新聞地方版に防災コラム「看護の視点からの地域の災害弱者対策を」を連載。
趣味はフルート演奏、飛行機、アマチュア無線、カメラ、山歩きなど。小児白内障により6歳で両眼の水晶体を失うが、無水晶体眼者として国内ではじめて国土交通省より航空機操縦訓練許可書を取得。 自衛隊のパイロットなど航空関係者に多くの友人をもつ。また、地域の子どもたちの「斎王の舞」と出会ったことを機縁に、神職の資格を取得(大分県豊後高田市三宮八幡社の禰宜)。『斎の舞へ』を上梓(甲野善紀と共著、2006 年、仮立舎)

【主要目次
序章

東日本から西日本へ次に備えるために
経験したことのない被災/津波避難対策特別強化地域の意味

第1章

津波を起こす地震のしくみ
1 プレートとトラフ
2 まず大地震  震度とマグニチュード/津波の可能性/南海トラフの大地震
3 津波とは  海そのものの移動/速度と破壊力/津波の周期
4 確かな予測はできない  非線形の現象/なぜ予測できないのか
5 予測や想定の受けとめ方  津波ハザードマップの作られ方/防災会議で検討されること /ひとつのシナリオに過ぎない
6 避難対策  誰もが当事者に/生きる力を育てる

第2章

「とにかく逃げろ」では助からない人たち
1 人間的な視点からの対策  行動の問題/からだの問題/こころの問題
2 災害弱者とは  高齢社会
3 誰でも災害弱者になり得る   そこに残して逃げられますか?/決して少数派ではない
4 対策の基準を災害弱者に
5 こころのつながりを守る
6 災害に備える三つの基本

第3章

東日本大震災で実際に起こったこと
1 津波被災範囲の大きさを知る
2 釜石の奇跡が教えること  逃げきった子どもたち/避難距離800メートル/なぜ裏山に登らなかったのか
3 避難の現実を知る  宮城県南三陸町志津川地区/岩手県陸前高田市
4 人間的な理由  なぜ逃げ遅れるのか/避難をあきらめた人たち

第4章

災害中の避難 
1 災害避難の三つの型  災害前の避難/災害後の避難/災害中の避難
2 あなたならどうしますか?
3 地震・津波避難の全体像  地震が起こったとき(かえって危険な「だんご虫」のポーズ)/家を脱出するとき/避難移動するとき/避難場所に到達するとき
4 実際に使える時間
5 避難する人間の問題  足の速さを知る/強者と弱者/平均値を基準にできるか/整数倍か、分数倍か/自力では動けない人
6 チャンピオンデータは使えない
7 転ぶということ
8 なぜ徒歩なのか
9 一列縦隊の危険性
10 小さな遅れが積み重なると 

第5章

みえてきた地震・津波対策の問題点 
1 ほんとうに逃げ遅れたのか  間に合うかどうかの検討
2 意識や体力の強化が対策ではない  防災意識など高まらない/からだを鍛えろ?/虐待になってしまうかもしれない/あきらめを呼ぶ対策になっていないか
3 公的な避難場所とは  住民自身にしかできないこと

  第6章

津波避難の大原則 
1 地面の上で遭遇してはならない
2 高さか、距離か
3 どこで犠牲になったのか  石巻市の被害―運命の10メートル/東松島市野蒜地区の証言/市街地での避難(釜石市)―多くの建物が流されずに残っているのに
4 助かっていたかもしれない人たち
5 津波高と遡上高の関係
6 逃げ続けることに執着しない
7 津波避難は高鬼(たかおに)
8 安全は一つではない  いろいろな避難場所/身の丈の避難/後ろに戻る避難
9 地域全体を避難場所に
10 孤立は敗北ではない

  第7章

避難の計画と行動の実際
1 あらかじめ決めておく  そのとき、危険は判断できない/オンサイトのリスクマネジメント/事前対策がすべて
2 残された時間  釜石市沿岸部の旅館の事例/陸前高田市米崎地区の例消防団
3 津波と競走はできない
4 飛行機のピンチにパイロットはどう考えるか  増加関数法/減少関数法/達成の確実性を優先させる
5 予定外の避難行動をすると
6 避難目標を決める  外部目標への避難計画/自宅避難という選択肢
7 保育園や小学校の子どもたちの避難―施設外避難が必要なのか?  集団避難の難しさ(全員が助からなければならない/子どもたちの集団の特徴/がんばりがきかない)校舎を離れることのリスク/命が助かるための最小限の避難―より高い階へ/登下校時の避難(上級生のリーダーシップ)/小学校の移転計画について
8 情報を使う  気象庁が発信する情報/情報が乏しい中での避難/ラジオを鳴らし続ける/待たない、迷わない/防災無線
9 極めて短時間の避難  北海道奥尻島青苗地区での対策
10 災害弱者の避難援護  「助けは来ない」を基本に考える/助ける側の心得―完璧を目ざさない/避難の形を事前に決めておく

  第8章 避難場所で命を守る
1 避難場所に馴染んでおく
2 からだを冷やさない
3 暑さ対策
4 事前の準備  赤ちゃん/高齢者、疾患のある人
5 備蓄物品
6 トイレは最優先の課題
7 避難タワーの問題点
  第9章 動きだした地域での災害弱者対策
1 自治会と社会福祉協議会が中心となって進む対策(志摩市志摩町和具地区)  まち歩き/段階的な避難/避難所
2 小学校と町づくり協議会が中心で進む対策(伊勢市東大淀町)
3 産学官民の連携で進む対策(伊勢市大湊町)
  終 章 主役は地域、そしてあなた自身です
1 地域を知り、自分を知る  避難とは難を避けること/「できること」しかできない
2 対策の根や幹を育てる
3 対策の車輪  自助で生き延びる/ホイールとタイヤ/助けられやすい行動
4 小学校を対策の拠点に
5 災害対策は総力戦  テーブルにすべてを/コミュニティーの力/看護の力を活かす
あとがき
【推薦文/書評】
 

紹介記事(新聞コラム)
『津波避難学』が“九州医事新報”5月20日号の「今月の1冊」に取り上げられました。大山副編集長の筆になるコラム記事。熊本地震の衝撃もふまえて「想定外を想定」することと具体的避難のノウハウの研究の必要性を述べ、本書を紹介してくれている。本書の示す「説得力ある原則は、パニックに陥りがちな災害時の行動原則として、例えば学校教育の場などで広く周知されるべきだ」と。

 
 

新刊『津波避難学―命が助かる行動の原則と地域ですすめる防災対策』が、著者とともに新聞記事に大きく取り上げられました。
*4月2日の中日新聞、伊勢新聞、4月4日の毎日新聞の三重県版に、本書の発行と、著者が伊勢市役所を表敬訪問して鈴木健一市長に贈呈したニュースを報じる記事が掲載されました。いずれも本書を手にした著者の写真入りで、4段、5段のスペースが割かれた地方面のトップ記事です。以下は各記事の見出し、( )内は記者名。
 中日新聞(2016.4.2)・・・津波避難の知恵1冊に、明和の清水教授「近くても高い所へ」(大島康介)
 伊勢新聞(2016.4.2)・・・伊勢志摩の防災対策提言、愛知県立大の清水教授「津波避難学」を出版(倉持亮)
 毎日新聞(2016.4.4)・・・災害弱者視点の「津波避難学」出版、明和在住 清水・愛知県立大学教授 各自が最良の対策を(小沢由紀)

 



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