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岐阜大学医学部附属病院は、いま最も進んだかたちで医療のIT化を成し遂げたトータルインテリジェントホスピタルとして注目を集めています。著者は、そのシステム開発に看護師の立場で関わり、看護情報支援システムの構築をリードしてきました。本書の特徴は、手順の紹介とともに重要ポイントや陥りやすい問題を指摘し、「どうすればよいか」経験者として助言を伝えていることです。 |
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看護職員の情報リテラシー研修テキストに活用度大。 |
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電子カルテ化をひかえた看護管理者には絶好の実用的ガイド。 |
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推薦文(書評)へ |
【著者】 ごしまみつこ:岐阜大学医学部附属病院副看護部長 |
【主要目次】 |
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第1章 病院をとりまく環境の変化
第2章 情報システムの変遷とITに求めるもの
第3章 看護部門の病院経営との関わり
第4章 看護情報支援システムの構築手順
第5章 業務フローの作成
第6章 システム構築のための組織化
第7章 仕様書の作成
第8章 契 約
第9章 システムの開発
第10章 システムの運用 |
【推薦文/書評】 |
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“看護”4月号に「看護管理としての看護情報支援システムの構築と運用」の書評が掲載されました。評者は佐藤エキ子氏(聖路加国際病院 看護部長)。......2006.3.30
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岐阜大学病院の電子カルテシステムが開院直後から順調に稼働している理由がいまここに明らかになった。平成16年6月1日に新生岐阜大学病院が新築・移転・開院した。インテリジェント・ホスピタルとして開院前から多くの注目を集め,世界的にも例のないペーパレス・フィルムレス環境下で次世代型電子カルテシステムを稼働させようとチャレンジした病院である。
著者は岐阜大学病院の副看護部長という多忙極まりない要職にありながら,インテリジェント・ホスピタルの看護情報支援システムをゼロから設計・構築・運用・安定稼働へと導いた人物である。看護部門は病院業務全般を横断的に支える最も重要で広範囲に亘る業務を担当する部署である。このような看護部門の全業務を完全にIT化し,それを安定稼働するシステムとして現場に定着させることは極めて困難で,かつ根気のいる仕事であることは読者の誰もが容易に想像できることである。なぜこのような大事業を短期間で成功裏に達成させることができたのか,その舞台裏を誰もが知りたいところであった。
本書は,新生岐阜大学病院を取り巻く社会的状況,そのような社会的状況の中でどのようなポリシーで病院や看護部門を運営しようとしたのか,また看護部門業務を完全にIT化するためにどのような準備を進めてきたのかを詳細に再現した希有の書物である。同時に,岐阜大学病院での看護業務をすべて洗い出し,インテリジェント・ホスピタルでのワークフローをモデル化,そのワークフローを看護情報支援システムとして新しく再構築していく手順を現場業務の視点から具体的に解説した書物でもある。看護の現場で用いる言葉を如何に整理・標準化するか,現場で働く看護師の一人ひとりが自分たちの業務を看護情報支援システムに反映させるためにどのような役割分担をし,どのようにプログラム開発するシステムエンジニアに伝えるのか,システムをテスト運用する時にどのようなことに注意しなければならないのか,本稼働後の運用とメンテナンスにはどのようなことに気を配らなければならないのか等々,実に丁寧に,そして平易な言葉で解説してある。
看護業務を熟知し,看護業務を分析・整理・システム化できる能力をもった著者あるいは看護部門の多くのスタッフ達の長年に亘る努力があったからこそ,今日の岐阜大学病院の成功があったことがよく理解できた。多くの読者が自分たちの病院をIT化しようとするときには必読の書であり,自信を持って推薦できる一冊である。 |
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紀ノ定保臣(岐阜大学医学部附属病院 医療情報部長) |