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突然発症し救命され意識回復した脳血管障害患者は、以前とはまったく異なって感じられる自らの身体と向き合うことになる。回復に向かう急性期、彼らが生きる世界はどのようなものなのだろうか。 |
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著者は臨床の場で看護する只中に研究の視座を置き、看護師として患者自身が語る経験に耳傾け記録に残しました。そして、その意味をハイデガーやメルロ=ポンティの哲学を媒介に考察し、看護実践のありかたに直結する知として結実させました。 |
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跋文として寄せられた田中美恵子論文にも注目。20頁余に及ぶ力のこもった研究方法論の展開は
特に質的看護研究を目指す読者には必読です。 |
【著者】やまうちのりこ:東京女子医科大学病院・看護師 |
【主要目次】 |
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I 患者の経験を知る |
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1.患者にみえている世界、そこで感じていること
2.患者の経験世界に近づくための研究方法
3.研究参加者
4.倫理的配慮 |
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II 片麻痺を伴う脳血管障害の回復過程における患者それぞれの経験 |
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−看護師としての参加観察記録
A さんの経験 B さんの経験 C さんの経験
D さんの経験 E さんの経験 F さんの経験 |
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III 片麻痺を伴う脳血管障害の身体経験とその意味 |
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1.片麻痺を伴う脳血管障害の身体経験
2.身体経験の意味 |
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IV おわりにー看護実践の道しるべ |
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1.患者の身体経験の意味に見合った看護
2.実践と研究 |
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跋 解釈学的現象学がひらく臨床看護研究の地平・・・・・・・・・・・・・・・・・田中美恵子 |
【推薦文/書評】 |
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書評……“精神科看護”10月号に『看護をとおしてみえる片麻痺を伴う脳血管障害患者の身体経験』の書評が掲載されました(「本との話」欄)。評者は永岡知生氏(井之頭病院看護師)。精神科看護一筋の永岡氏は先輩に勧められるまま、てっきり精神科関連の本と思って手に取ったのだという。当初、興味をもてるか?と戸惑ったが、読み始めるとその心配はすぐに消え、患者の語る発症以来の体験世界と、それを引き出した臨床での著者とのやりとりにひきこまれていった。精神疾患患者の症状・病的体験が身体感覚の異常と直結していることを思うと、本書が示す身体の回復過程は精神科にも重ねて考えることができた。そして、脳血管障害発症直後からの緻密なリハビリテーション看護の実践から示唆を得、「精神科においても、まだまだやるべきことがあり、やれることもあると自戒する」と述べる。また、言葉を手がかりにした患者理解の重要性にふれ、本書に結実するまでの著者の苦労に思いを致し、「改めて患者の語りの重要性、耳を傾けることの大切さを考えさせてもらった」と締めくくられています。 |
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